現地農業情報-農:No.301:学校給食の地産地消における「有機化」の意義 ―長野県下の実態調査をとおして―
■発行日:2023年8月31日
■報告:小口 広太(千葉商科大学人間社会学部准教授)
■コメント:市田 知子(明治大学農学部教授)
■ページ数:68p.
■在庫:あり
構成
1.はじめに
2.学校給食の有機化をめぐる歴史と現在
3.学校給食の有機化を進める先進事例
4.長野県における有機農業と有機給食の展開
5.長野県松川町における学校給食の地産地消と有機化の推進
6.むすびにかえて
《私のコメント》 市田 知子
■【問題の所在】より:
本研究の目的は,学校給食の「有機化」(地場有機農産物の供給,有機給食)をめぐる歴史と現状を踏まえながら,その意義と可能性について検討することにある。学校給食における地産地消の取り組みが各地で広がりを見せる中,有機化への関心が高まっている。2021年5月に策定された「みどりの食料システム戦略」においても,学校給食が有機農業を軸にしたローカル・フードシステムの起点となり,中心的な役割を果たすことが期待されている。
本研究では,学校給食の有機化をめぐる歴史とその派生状況から類型化し,近年の特徴を位置付けるとともに,長野県松川町を事例として取り上げ,その現状を分析する。
学校給食の有機化は,地域の中で有機農業への理解を醸成し,持続可能な農業の推進という好循環を生むことにつながる。さらに,地域の魅力を高め,販売先の拡大や移住者の増加,都市農村交流に展開する可能性がある。