日本の農業:<日本の農業 特別号>米産業に未来はあるか
書籍刊行のご案内
『米産業に未来はあるか ―― 歴史を見つめ、明日を展望する』 一般財団法人 農政調査委員会 編
日本の米は「ゆでガエル状態」にある――。 需要が減り続けるなかで、飼料用米をはじめ多額の助成で主食用米の生産を抑制し、価格維持を図る現状の先に未来は描けるのだろうか? 過去と現在を見つめつつ、これまでの政策を総括し、これからを展望することが、今まさに求められているのではないか。 米の生産者、流通・加工業者、元政策担当者、学識者と様々な立場の方々総勢34名から提言を寄せていただいた本書は、議論の呼び水となるに違いない。水田と農村に軸足を置きつつ視野を世界へ広げて、需要拡大を図ることで、日本の米の可能性が見えてくる。
令和3(2021)年8月20日刊行 A5版 361ページ 定価2,970円(税込)
<日本の農業 特別号>
目次
はじめに 吉田俊幸(農政調査委員会理事長)
第1部 米政策の現在地
規制と市場原理の中間的政策 荒幡克己(筑波学院大学教授) 水田農業の構造再編の現状と課題 安藤光義(東京大学教授) 生産調整政策の変遷と生産者行動 田家邦明(中央大学経済研究所客員研究員) 高値維持は中食・外食に打撃 福田耕作(公益社団法人日本炊飯協会 理事・顧問) 米の需給には国の関与が必要 山田俊男(参議院議員)
第2部 昭和・平成の歩み
食管法が終焉しても続く価格維持 武本俊彦(新潟食料農業大学教授) 現場から見た米価算定の変遷 西藤久三(元食糧庁企画課課長補佐) 米価算定と政治との関わり 中川坦(元食糧庁企画課課長補佐) 米政策改革に残る未完成のパーツ 今城健晴(元農林水産省生産局長) 過剰対策で米価に「品質格差」導入 渡辺好明(元食糧庁企画課総括補佐) 「ヤッカイドウ米」からの飛躍 麻田信二(元北海道副知事) 産地一体のホクレン販売戦略 箱石文祥(ホクレン農業協同組合連合会 代表理事専務) 米菓とともに歩んで 古泉肇(亀田製菓株式会社 元会長) 「消費者が欲しいものを」とパック餅・米飯を開発 佐藤功(サトウ食品株式会社 相談役会長) 海外事業を積極展開 平山惇(木徳神糧株式会社 代表取締役社長) 食管法の変遷に沿った米卸の進化 米田実(元食糧庁計画流通部長、元株式会社神明常務) いまだ米産業になりきれていない 高木勇樹(元農林水産事務次官)
第3部 令和の展望:経営編
非農家出身・30代経営者が目指す300ha農場 中森剛志(中森農産株式会社 代表取締役) 中山間地の農地を地域一体で守る 保坂一八(有限会社グリーンファーム清里 代表取締役) 日本の稲作の発展に技術が不可欠 西川孝一(元農林水産省生産局長) 産地銘柄中心からブレンド米の時代へ 木村良(全国米穀販売事業共済協同組合 理事長) 生産者と消費者を結ぶのが卸の役割 山崎元裕(株式会社ヤマタネ 代表取締役社長) 多種多様な米を扱い、あらゆるニーズに対応 中島良一(全国米穀工業協同組合 理事長) 米卸からアグリフードバリューチェーンへ 藤尾益雄(株式会社神明ホールディングス 代表取締役社長)
第4部 令和の展望:需要編
米消費の実情と需要創造の道 折笠俊輔(公益財団法人流通経済研究所 主席研究員) 挑戦を続ける大潟村〜グルテンフリーに活路 涌井徹(株式会社大潟村あきたこまち生産者協会 代表取締役会長) 米粉の需要はまだまだ伸びる 藤井義文(新潟製粉株式会社 常務) 保存食「アルファ米」の可能性 佐藤正志(新潟ゆうき株式会社 代表取締役) メイド・イン・ジャパンの日本酒を輸出 松永將義(白鶴酒造株式会社 海外事業部長) 日本酒輸出のカギは知識の提供 齋藤俊太郎(新潟県酒造組合 需要振興委員長) 全農の輸出の取り組み 宗和弘(JA全農 耕種総合対策部長) 海外現地精米で需要を開拓 高橋元(株式会社クボタ アグリソリューション推進部担当部長) カリフォルニアと日本は一つの米市場圏 西川邦夫(茨城大学准教授)
第5部 座談会
水田経営の存続には制度改革が必要 坪谷利之(木津みずほ生産組合 代表理事) 生産者、農協による先物取引の活用事例 無理な米価維持政策から早期に脱却を 針原寿朗(元農林水産審議官)
座談会「歴史・現在をみつめ、展望を描く」 生源寺 眞一(福島大学教授) 針原 寿朗(元農林水産審議官) 坪谷 利之(新潟県農業法人協会副会長) 西川 邦夫(茨城大学准教授)=司会
おわりに 渡辺好明(農政調査委員会評議員) 編集後記 松本裕志(農政調査委員会専門調査員)
「米産業に未来はあるか」研究会 吉田俊幸・渡辺好明・松本裕志・西川邦夫・黒崎亜弓