のびゆく農業:No.1010:FDA食品安全強化法:消費者保護と企業利益
■原題:
・Debra M. Strauss(2011), An Analysis of the FDA Food Safety Modernization Act: Protection for Consumers and Boon for Business(Food and Drug Law Journal, 66(3): 353-376, August 2011
■発行:2013年3月31日
■解題:立川 雅司→解題等(PDF)を読む(本編の一部を無料でご覧頂けます)
■翻訳:立川 雅司
■対象:アメリカ
■ページ数:51p.
■在庫:あり
■目次:
- 解題…2
- FDA食品安全強化法:消費者保護と企業利益…6
- はじめに …6
- 1. 法案成立をめぐる劇的プロセス…8
- 2. FDA食品安全強化法の諸要素…11
- 3. 将来の課題と制約…20
- 4. 今回の政策課題の意義と範囲…25
- 5. 再検討されるべき他の分野…30
- 6. 結論…33
■解題より:
1.本論文は、Debra M. Strauss著、An Analysis of the FDA Food Safety Modernization Act: Protection for Consumers and Boon for Business(Food and Drug Law Journal, 66(3): 353-376, August 2011)の邦訳(本文全訳および注の部分訳)である。
本論文の主要内容は、表題にもある通り、2011年1月4日に成立した、アメリカの「FDA食品安全強化法」(以下FSMA)の概要に関して、法案審議過程、主なポイント、関係者の評価、今後の課題等を示すことにある。FSMAの成立は、大恐慌期以降のアメリカ食品安全政策を大きく転換させるものであり、アメリカにとっては画期的な内容を有する。特に、食品汚染事故の増大を背景として、食品医薬品局(FDA)の役割を事後対応的なものから、積極的な事故防止に力点を置くものへと転換させた。この政策の転換は、HACCP的なリスク管理措置の導入を各企業に義務付けると共に、管理計画策定、FDAへの事業者登録と定期更新、高リスク食品のトレーサビリティ、公益通報者の保護などの対応を事業者に求めることとなった。こうした要請に対応しなければならない事業者は国内だけではない。アメリカに食品を輸出する事業者も対象であり、日本においても本法律の制定は関係企業の大きな関心事項となってきた。日本の事業者が遵守しなければならない点を中心としたFSMAの解説はJETROなどから公表されているので、その詳細に関しては、これら優れた先行文献を参照されたい(JETRO 2011, 2012)。
アメリカにおける食品安全制度において、FDAは強力な権限を持っていると指摘する日本人も多いが、実態はそうではなかった。・・・
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