現地農業情報-農:No.297:東日本大震災が福島県産果樹にもたらした影響-モモとリンゴの贈答を事例として-
■発行日:2018年1月31日
■報告:半杭 真一(東京農業大学国際食料情報学部准教授)
■コメント:守友 裕一(福島大学大学院経済研究科 ふくしま未来食農・教育プログラム)
■ページ数:96p.
■在庫:あり
- 構成
- 1.はじめに
- 2.福島県の果樹生産と東日本大震災
- 3.贈答と消費者行動
- 4.購買者の意思決定と福島産に対する意識
- 5.経営における原発事故の影響と購買者への情報提供
- 6.総括:復興に向けて消費者とのコミュニケーションを
- 《私のコメント》 守友 裕一
■【問題の所在】より:
東日本大震災の発生から6年が経過したが、被災地は復興途上にある。農業面でも、農地、ビニルハウス、ダム、パイプライン、揚水器といった生産インフラが破壊され、農業者の避難により営農の中断をもたらした。さらに、原発事故によって飛散した放射性物質により、「買い控え」が発生した。「買い控え」により、福島県産農産物はその販売・流通において、大きな影響を受けた。
本報告では、贈答や直売の比率が高いモモとリンゴを対象とし、原発事故の影響とその回復状況を検討する。販売の回復において、贈答向けの直接販売は、顧客と生産者の関係性が強いが、この関係性がどういった役割を果たしたかを実態分析、アンケートにより分析する。とりわけ、顧客と生産者のコミュニケーションが果たした役割に焦点をあてて検証する。