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米産業・米市場取引に関する情報:その4(令和8年1月13日)

米産業・米市場取引に関する懇話会事務局
(一般財団法人農政調査委員会)

1.
(1)令和6年の農業総産出額は、米や野菜の価格が上昇したこと等から、前年に比べ 1兆 2,849億円(13.5%)増加し、10兆7,801億円となった。

 令和6年の生産農業所得は、農産物の価格が上昇したこと等から、前年に比べ6,728 億円(20.4%)増加し、3兆9,649億円となった。

 令和6年の米の産出額は、前年に比べ1兆331億円(68.0%)増加し、2兆5,524億 円となった。 これは、主食用米の価格が高騰したこと等によるものと考えられる。

表1 米の産出額の推移

表1 米の産出額の推移

注:令和6年度の増加率13.5%のうち10.9%が米の寄与
(出典:農林水産省資料)

図1 農業総産出額の対前年増減率と部門別寄与度の推移

図1 農業総産出額の対前年増減率と部門別寄与度の推移

(出典:農林水産省資料)


(2)2025年に売れた日用品の販売額の増加率-2025年に売れた日用品の販売額伸び率、第1位 米の販売額62%上昇、2019年対比89%
(調査会社・株式会社インテージ12月9日プレスリリースより;コンビニ、スーパー、ドラッグストア約6,000店の1~10位の販売額を集計)

2025年売れた日用品の販売額伸び率

  • 第1位 米の販売額:62%上昇(2019年対比89%)
  • 第2位 カルシウム剤:インバウンド需要
  • 第3位 インスタントコーヒー:19%増(販売数量7%減)
  • 第4位 玩具メーカー菓子
  • 第5位 レギュラーコーヒー:17%増(販売数量6%減)

「1位は断トツで、米。昨年に比べ販売金額は1.5倍以上で、物価高の代表商品に」

株式会社インテージのプレスリリース(12月9日付)によれば、2025年売れた日用品の販売額伸び率について、「円安の流れも続き、物価上昇が顕著になっている日本。それを象徴するように、1位は国民の主食ともいえる米」だった(表2)。

「販売金額は前年同時期に比べ162%となり、コロナ禍前の2019年に比べると2倍近くまで上昇して」おり(図2)。「以前はスーパーなどでの価格は5kg 2,000円ほどと安定して」いたが「今や4,000円程度まで上がっていることが日々報道されて」いる(以上、株式会社インテージのプレスリリースより(12月9日付))。


表2 2025年の金額前年比・上位ランキング

表2 2025年の金額前年比・上位ランキング

(出典:株式会社インテージ・プレスリリースより引用)

図2 米の販売金額トレンド(2019年比較)

図2 米の販売金額トレンド(2019年比較)

(出典:株式会社インテージ・プレスリリースより引用)

表3 売れたものランキング(2024年)

表3 売れたものランキング(2024年)

(出典:株式会社インテージ・プレスリリースより引用)



2.米市場取引の価格動向

(1)相対取引価格と民間在庫量の推移

相対取引価格の高騰と高止まり

図3 相対取引価格と民間在庫量の推移

図3 相対取引価格と民間在庫量の推移

(出典:農林水産省資料より)

図4 相対取引価格の推移(令和3年産~令和7年産)

図4 相対取引価格の推移(令和3年産~令和7年産)

(出典:農林水産省資料より)


(2)スーパーの販売価格は高止まり。年末年始のコメ価格、2週間ぶりに最高値を更新 5kg 4,416円に(朝日新聞、日経新聞2026年1月9日)

①農林水産省は9日、令和7年12月29日~令和8年1月4日に全国のスーパー約1,000店で売られた米5kgの平均価格は税込み4,416円だったと発表した。前の週より93円(2.2%)高く、令和4年の調査開始以降の最高値を2週間ぶりに更新した。これまで最も高かったのは、12月15~21日の4,337円だった。

 4,000円を上回るのは18週連続、コメの流通在庫は脹らむものの、2025年産米の店頭価格が高値ではりついている。
 産地と品種が明示された「銘柄米」の平均価格は4,516円で、21円(0.5%)上昇。全体の販売量に占める割合は前の週の72%から74%に拡大した。政府備蓄米を含む「ブレンド米など」も4,131円と、261円(6.7%)上昇したことで、平均価格を押し上げた。

②2025年12月15日の週の平均価格は、前週の4,331円/5kgから6円上昇し、4,337円/5kg。(対前年同期+24.2%、前週比+0.1%。2週連続の上昇。2025年11月24日の週以来の過去最高値。)

・平均価格については、2025年6月以降、随意契約による政府備蓄米の流通により低下した後、8月以降は新米の出回り等を背景に上昇。9月以降は4,000円/5kgを上回る水準で横ばい傾向で推移。
・販売数量については、2025年6月、7月は前年を上回る水準で推移し、8月以降はピーク時に比べ低い水準が継続。


図5 スーパーでの販売数量・価格の推移

図5 スーパーでの販売数量・価格の推移

(出典:農林水産省資料より)



3.主食用米の検査・集荷状況

(1)主食用米検査状況

令和7年産水稲うるち玄米の9月30日現在の検査数量2,025.3千tだった。前年産同月1,814.8千tより210.5千t(111.6%)、過去5年(令和2年産から6年産)同月の平均1,784.9千tより240.5千t(113.5%)増加。

①検査数量(千t)(9月30日現在)

  • 7年産 2,025.3
  • 6年産 1,814.8
  • 5年産 1,893.7
  • 過去5年平均 (令和2年産~6年産) 1,784.9

水稲うるち玄米以外については、水稲もち玄米は65.2千t、醸造用玄米は25.4千t、飼料用もみは4.2千t、飼料用玄米は37.2千t。

② 品質概況  9月30日現在の水稲うるち玄米の1等比率は77.0%
1等比率(%) 8月31日現在     9月30日現在  最終(翌年10月31日)
7年産66.5  6年産77.0  5年産63.7  4年産77.5 ※ 3年産 75.9 ※
6年産の最終は令和7年3月31日現在(速報値)の値 69.0  59.6  60.9


(2)

①令和7年産米の令和7年10月末現在の集荷数量は185.5万玄米t(対前年同月+26.6万玄米t)、契約数量は162.3万玄米t(対前年同月 +2.9万玄米t)、販売数量は28.7万玄米t(対前年同月▲1.1万玄米t)(以上、農林水産省発表)


②JA全農、コメ集荷が3割届かず 競争激化で目標未達に(共同通信・12月21日付より)

 全国農業協同組合連合会(JA全農)令和7年産米の集荷量が、目標に掲げていた生産量全体の約3割に当たる227万tに届かない見通しとなったことが18日分かった。

 農家への仮払金を大幅に引き上げて臨んだものの、他の集荷業者との激しい競争で苦戦した。一方、高値仕入れが新米価格の高止まりを招く要因となっている。

 令和7年産米の集荷はほぼ終わり、集荷率が全体の26%まで落ち込んだ令和6年産の179万tは上回る見通しだ。だがJA以外の業者の台頭に加え、農家自らが販売を手がけるなど流通の多様化が進み、集荷率は低下傾向にある。

 JA全農は令和7年産米の集荷拡大を「最大の課題」と位置付けた。地域農協が農家に仮払いする「概算金」は多くの産地で過去最高となった。玄米60kg当たりで新潟コシヒカリが前年比13,000円高の3万円、北海道産ななつぼしは12,500円高の29,000円だった。(共同通信 12月21日より)


③令和7年産米の集荷、前年と同水準 JAしまね、概算金上げなどで維持(朝日新聞社)

 JAしまねは12月26日、令和7年産米の集荷率について前年と同じ36.6%の見込みと発表した。JA以外の集荷業者との集荷競争を背景に、生産者に支払う前払い金の概算金を前年比約1.7倍に引き上げたり、概算金の最低保障額を提示して複数年契約を結んだりした結果、前年の水準を維持できたとみている。

 JAしまねによると、1.9ミリのふるい目幅で選別した後の令和7年産米の生産量は12月23日時点で82,900t。このうち、JAしまねに出荷された数量は30,350tで、集荷率は36.6%だった。

 JAしまねは令和7年産米の集荷目標を34,000tとしていた。目標未達の要因については、コメの収量が低下すると見込んだ集荷業者の買い取りが活発だったことや、生産者が自家で消費したり、縁故者に配ったりする保有米を増やしたりしたこと、ふるいで落ちる小粒の米が前年より多かったことなどを挙げた。

 竹下克美組合長はこの日の会見で、今回の集荷率について「一定の評価はできる(数値)」としつつも、「主食の米を安定供給するには低すぎる」との認識を示した。

 また、販売状況に応じて生産者に支払う追加金については、民間在庫が膨らみ、高止まりしているコメ価格が今後下落する恐れがあることから「出す環境ではない」と述べた。(堀田浩一)(以上、朝日新聞社によるストーリー・12月27日付より)



4.集荷・販売・価格動向

(1)11月の国産米の販売状況(日本農業新聞・12月24日付)

集荷業者が米卸に販売した数量は37.5万tで比較可能な2014年以降、最小。

 9、10月は2025年産が主体であり、順調に販売、米卸が小売、中食・外食に販売した数量も2019年以降、最小、コロナ禍を下回る。

米卸の小売業者への販売数量 2019年比87.5%、中食・外食向けが89.5%


図6・表4 集荷・契約・販売状況(出回りから生産年の11月末までの累計) 

図6・表4 集荷・契約・販売状況(出回りから生産年の11月末までの累計)

(出典:農林水産省資料より)


(2)需給価格動向(米穀機構)

①米価水準「下がる」見通し判断増える 12月の米穀機構調査(2026年1月8日)

米穀機構は1月8日、2025年12月の米取引関係者の需給や価格動向についての判断に関する調査結果を発表した。


図7 主食用米の需給動向(令和7年12月)

図7 主食用米の需給動向(令和7年12月)

(出典:(公社)米穀安定供給確保支援機構)


 国内の主食用米の需給動向についての現状判断DIは「27」で11月調査から7ポイントと「大幅に減少」した。需給が緩和しているとの見方がさらに強まった。

 向こう3カ月の見通し判断DIは「26」で前月から5ポイント下がった。米価と需給見通し指数が20台に落ち込むのは、コロナ禍の2021年秋以来となった。


図8 主食用米の米価水準(令和7年12月)

図8 主食用米の米価水準(令和7年12月)

(出典:(公社)米穀安定供給確保支援機構)


 一方、米価水準についての現状判断DIは「88」で前月から3ポイント減となったが、米価水準が高いという見方は続いている。

 向こう3ヵ月の見通し判断DIは「27」で前月から5ポイント減少した。米価が下がるという見方が前月よりさらに強まった。

 取引関係者が今回の判断を行うに当たって考慮した要因でトップだったのは「国内の在庫水準」で44%だった。次いで「米穀の調達状況」が34%、「消費者の動向」が12%だった。

 販売数量に関する現状判断DIは、米卸が前月より17ポイント増の「56」、小売は5ポイント増の「47」といずれも販売量が増えたという見方が強まった。

一方、来月の販売数量の見通しにDIは米卸が28ポイント減の「35」、小売は30ポイント減の「33」と一転して販売量が減るとの見方が強まっている。



5.令和8年産米の生産目安と生産者の作付意向

(1)道県別の令和8年産生産目安と令和7年産目安、実績との比較

 米の主産道県は、北海道、青森、岩手を除くと2026年産生産目安は2025年産生産目安を国の需給見通しの目安増大を受けて、増加している2025年産の作付実績、生産実績を下回っている。とくに、茨城は2026年産生産目安が 2025年産生産目安と実績を下回っている。

 北海道、青森、岩手、富山を含めて西日本地域では、2026年生産目安は、2025年生産目安及び生産実績を上回っている。全国的にみると、2026年生産目安は、2025年産の作付・生産実績を同一水準からやや上回る可能性がある。また、2025年産の生産実績が生産目安をかなり上回っていることからみると、価格動向、天候次第によるが生産実績が生産目安を上回る可能性がある。とくに、西日本では2026年産目安が2025年産生産実績を上回っている。


表5 道県別の令和8年産生産目安と令和7年産目安、実績との比較


2026年生産目安2025年対比2025年実績
北海道520,737t6,596t増1,837t増
89,644ha据え置き346ha増
青森県272,764t53,792t増2,264t増
44,747ha8,621ha増1,047ha増
秋田県428,000t9,000t増49,500t減
74,177ha1,560ha増7,023ha減
山形県334,900t8,600t増14,600t減
55,539ha1,426ha増1,561ha減
岩手県260,937t19,223t増137t増
47,565ha3,176ha増665ha増
宮城県344,321t15,774t増18,779t減
62,442ha2,223ha増2,878ha減
栃木県285,242t12,846t増31,358t減
52,338ha1,894ha増5,762ha減
茨城県347,744t26,750t減5,056t減
52,338ha4,084ha減1,071ha減
新潟県562,000t400t減27,000t減
104,000ha100ha減4,900ha減
富山県186,016t10,000t増1,700t増
34,000ha1,800ha増
石川県116,432t3,551t増1,168t減
22,274ha174ha増
長野県182,301t2,994t増
29,772ha98ha増
福岡県174,300t2,800t増
35,500ha500ha増1,000ha増
滋賀県153,000t5,000t増4,000t減
29,497ha981ha増197ha増
兵庫県150,000t2,347t増
30,242ha812ha増
広島県109,957t1,001t増57t増
20,825ha190ha増625ha増
愛媛県66,633t2,132t増933t増
12,254ha723ha増495ha増
佐賀県25,848t741t増
133,818ha3,514ha増
熊本県163,329t1,556t増
31,838ha1,738ha増

(2)生産者の主食用米作付意向(農水省調査、11月発表)

合計:8,095 名 うち 個人:6,845、法人:1,250 うち 平場:5,104、中山間:2,991、認定農業者58%

①令和7年産について、令和6年産と比較して主食用米の作付面積を「増加させた」のは2,716(34%)であり、「変わらない」が4,736(59%)である。


図9 <現状>令和7年産の主食用米の作付け面積の対前年比較

図9 <現状>令和7年産の主食用米の作付け面積の対前年比較

(出典:農林水産省資料より)


②令和8年産について令和7年産と比較して、主食用米の作付面積を「増やしたい」が2,362(29%)であり、「現状維持」4,555(56%)「減らしたい」が349(4%)、「分からない」が829(10%)である。価格・需給動向によっては、「増やす」生産者が増加する可能性がある。「増やしたい」面積は3ha未満が約60%である。


図10 令和8年産において主食用米の作付けを増やす意向

(出典:農林水産省資料より)

図11 同・増やしたい面積

図11 同・増やしたい面積

(出典:農林水産省資料より)

(3)集落営農の経営と意向調査(日本農業新聞・12月11日付)によると、「主食用米増・転作減」が20.4%、「主食用米減・転作増」が6.1%増である。



6.米消費量の推移

 全米販調査による1人1月当たり精米消費量は令和7年3月から9カ月連続、前年比を下回る。減少率も4~7月は9%以上、10月4.1%、11月7.8%

 家庭内消費量4月から8カ月連続減、4~8月、11月は10%以上減、中・外食消費量は令和6年12月から10月まで11月連続減。

 農水省はインバウンド需要が米消費増加の要因と指摘しているが、その影響がどの程度であるか。


表6 1人1か月当たり精米消費量の推移(令和6年4月~令和7年11月)

表6 1人1か月当たり精米消費量の推移(令和6年4月~令和7年11月)

(出典:(公社)米穀安定供給確保支援機構)


①全国18紙と日本農業新聞の合同アンケート(令和7年5月末)

 消費者は「食べる頻度減った」が4割、その頻度の習慣が変わらない傾向、米消費減少加速化する…

 価格上昇以降もコメを食べる頻度は「変わらない」と答えた人は、生産者で9割以上いたが、消費者では6割強にとどまった。消費者では、価格上昇以降もコメを食べる頻度は、「変わらない」が66%、「減少した」が34%である。

図12 価格上昇以降、米を食べる頻度

図12 価格上昇以降、コメを食べる頻度

(出典:19紙合同アンケート結果より)


 食べる頻度が「減った」と答えた人では、対応策(複数回答)として「パンや麺類を増やした」という人が8割近くに上った。

 ただ、食べる頻度が「減った」という消費者の中でも、「増やしたい」と考えている人が4割強を占めたが、変えるつもりがないが4割、減らしたいが2割を占め、食べる頻度の減少家庭が米の頻度減少を固定させる傾向になっている。食べる頻度が「変わらない」と答えた消費者の9割は、今後も頻度を「変えるつもりはない」とした。


図13 価格上昇後、コメを食べる頻度は(消費者)

図13 価格上昇後、コメを食べる頻度は(消費者)

(出典:19紙合同アンケート結果より)



②住友生命・2025年台所事情アンケート、「令和の米騒動」で米の購入を控えたことがある人が26.4%、売り切れで買えなかったことがある人が23.9%。


図14 2025年の「令和の米騒動」をうけた米の購買行動にみる変化の内容

図14 2025年の「令和の米騒動」をうけた米の購買行動にみる変化の内容

(出典:スミセイ「わが家の台所事情アンケート」2025より)



7.その他

(1)味噌工業会の原料米の使用状況

1~9月の出荷数量 258,591t(前年比102.4%)、輸出数量 100.2%

表7 味噌工業会の原料米の使用状況

特定米穀 (t)加工用米 (t)MA米(米国)(t)
令和元年32,07610,86315,351
令和2年30,2805,63114,725
令和3年31,4025,66511,729
令和4年37,6854,8865,557
令和5年35,3934,8013,449
令和6年21,1174,16812,895
令和7年(1~9月)12,0812,82611,149

(2)コメの民間輸入前年同期の104倍

「コメの民間輸入が急増している。1~11月は92,968tと前年同期の104倍に達した。国産米の高騰によって関税を払っても採算が取れるようになり、需要が高まったためで、国が関税ゼロで輸入する主食用枠に迫る。価格維持を優先し事実上の生産調整を続けてきた日本の農政がかえって輸入米人気を招く皮肉な状況がある。」(以上、日本経済新聞(12/18(木) 14:22配信)より)

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