講演会報告:三石誠司氏「日本の農業・食品産業とTPP」
農政調査委員会では、去る12月4日、のびゆく農業・1027号「日本の農業・食品産業とTPP」の刊行を記念し、本書の翻訳・解題者である三石誠司氏(宮城大学 食産業学部 フードビジネス学科 教授)をお招きし、講演会を開催しました。三石氏にはこれまでにものびゆく農業シリーズで多くの翻訳を出され、とくにアメリカの食品関連産業・アグリビジネス等に関する文献を中心にご担当いただいています。
TPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉は農業・農政関係者にとって今もっとも関心の高いテーマの一つであり、本書の中でもTPPが「日本の農業の生産と消費に影響を及ぼし、農産物貿易に大きなインパクトを与えると考えられている」(p.9)といったくだりを見いだすことができます。今回の講演会の開催については1ヶ月に満たない短い告知期間ながら、様々な分野・地域から集まった35名の方にご出席いただきました。改めまして御礼申し上げます。
講演会当日、三石氏には本書をもとにアメリカが想定しているTPPの日本の農業への影響やアメリカの戦略について解説いただいたのち、解題の内容とさらに加えられた若干の私見等、日本が今後取りうる選択肢・可能性などについて時に大胆に解説いただき、非常に刺激的な内容となりました。のびゆく農業・1027号の内容の詳細は本書をご一読いただければと思いますが、当日ご参加いただけなかった方のために、本書に含まれていない内容の概要や、当日の会場の様子について、簡単にご紹介いたします。
《講師略歴》
宮城大学 食産業学部 フードビジネス学科 教授。全国農業協同組合連合会、米国全農組貿株式会社等を経て、2006年より現職。農政調査委員会の編集委員を務めるほか、農林水産省、経済産業省、財務省等の各種委員会で各種委員等を歴任。