講演会報告:安藤光義氏「縮小再編過程の日本農業:2015年センサス分析と現地実態調査結果」
そして安藤氏は、2015年農業センサスでは、高齢化と離農の影響を受けるだけで構造再編の動きは鈍ると予想していたが、実際には経営体、農地、労働力の3指標が全て減少の度合いを増すという予想外の事態になったと話されました。農業経営体の減少に歯止めがかからないまま、経営耕地面積の減少ペースが再び高まっている事態について、日本農業が本格的な縮小再編に突入した事を意味していると指摘されました。
具体的な分析結果については、基幹的農業従事者の減少ペースの上昇や、大規模経営への農地集積が進むもののペースが低下していること、加えて、農地集積について地域間格差が拡大していることなどが報告スライドを用いて示されました。
担い手については、若い経営者が増加に転じたという明るい兆しがあるものの、たとえば山間地域の農業集落では集落営農も担い手もいない割合が5割を超えるなど、危機的な状況もあると指摘されました。