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日本の農業:第257集:北海道における良食味米産地の産地構造-上川中央・比布町における実態調査より-

■発行日:2022(令和4)年3月31日

■対象:日本

■編集:農政調査委員会

■報告:西川邦夫編著・西川邦夫・安藤光義・渡部岳陽・平林光幸・吉田俊幸

■在庫:あり

■ページ数:106p.

■目次:

  • 第1章 はじめに(西川邦夫)
  • 第2章 北海道の水田作経営の特徴―都府県との比較―(安藤光義)
  • 第3章 比布町における農業構造変動と農協・町の取り組み(渡部岳陽)
  • 第4章 比布町における大規模稲作農家の経営実態からみる生産力構造(平林光幸)
  • 第5章 上川農業試験場における水稲育種の現状と課題(西川邦夫)
  • 第6章 おわりに(西川邦夫)
  • コメント 北海道稲作の規模拡大と生産力の到達点と今後の課題(吉田俊幸)

■「はしがき」より:

かつて北海道産米は食味を中心とした品質の市場評価が低く、「やっかいどう米」「猫またぎ米」と呼ばれた頃もあった(佐々木、1997:p.23-24)。しかしながら、食管制度下の自主流通米制度開始から50年を経て、北海道は国内産地の中で最も市場評価が高い米産地の1つになった。
図1は、農林水産省『米及び麦類の生産費』より、米価として60kg当たり粗収益の推移を、全国、北海道、そして良食味米産地が集中する北陸について見たものである。2000年代中頃まで、北海道産米の価格は全国平均と比べて明らかに低かった。しかし、同年代後半から全国平均が停滞する中で北海道は上昇に転じ、2014年に全国を、17年には北陸を上回るに至った。2008年に、良食味とは区別される極良食味米として「ゆめぴりか」が優良品種に登録され、本格的に生産が開始されたことが契機になっていることが分かる。「ゆめぴりか」は、北海道のもう1つの主力品種である「ななつぼし」とともに、2010年以降11年連続で日本穀物検定協会の米食味ランキングで特Aを獲得している。
農林水産省『作物統計』によると、2021年産の北海道の米収穫量は57.4万トンであり、全国に占める割合は7.6%、新潟県に次ぐ全国第2位の米産地である。そのうえ米産地としての市場評価を高めた北海道が今後どのような方向に向かっていくのか、主食用米需要の縮小に直面する日本の稲作全体にとって重要な論点と言えよう。
米産地としての北海道の発展には、試験研究・生産・集荷・販売・消費拡大等の一連の流れにおいて一貫性を持った戦略的な取組が必要であることが指摘されている(JAグループ北海道・北海道農協米対策本部、2018:p.4)。よって、北海道の現状と課題を分析するには上記流れ全体を捉える必要があるが、その様な先行研究は案外少ないのが現状である。そこで本書では、北海道における代表的な良食味米地帯である上川中央・比布町を対象として、①試験研究(上川農業試験場)、②生産(農業構造・水田作経営)、③集荷・販売(JA比布町)、及び④政策(比布町役場)によって構成される、米産地の全体構造を明らかにすることを課題とする 。



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