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日本の農業:第263・264集:農畜産物の価格形成と先物市場-国際穀物市場に学ぶ -「農産物市場研究会の記録」-

■発行日:2024(令和6)年2月1日

■対象:日本

■編著:農政調査委員会

■在庫:あり

■ページ数:180p.

■目次:

  • 第1章 コメ先物市場を考える―何を見据えて、どこに向かうべきなのか―  (林 康史)
  • 第2章 コメの先物取引―常識と非常識  (渡辺 好明)
  • 第3章 米先物取引の試験上場の経緯と米先物取引の必要性 (塩川 白良)
  • 第4章 生産者にとっての米先物取引への期待 (坪谷 利之)
  • 第4章の参考資料 農協や生産者による先物取引の活用事例 (吉田 俊幸)
  • 第5章 席上取引の現状と課題-全国米穀工業協同組合における席上取引の経緯と現状(画像取引も組み合わせて)― (中島 良一)
  • 第6章 国際穀物取引からみたコメ先物 (服部 秀城)
  • 第7章 商社から見た米中間流通の課題 (近藤 秀衛)
  • 第8章 大連の先物市場について (山口 亮子)
  • 第9章 穀物・油糧種子の国際市場と日本 (三石 誠司)
  • 第10章 わが国卸売市場制度の大転換と青果物市場についての考察 (細川 允史)
  • 第11章 卸売市場の価格形成と市場及び地域活性化への取組み ―中央卸売市場の黒毛和種と地方卸売市場の土佐あかうしの事例を中心に― (安部 新一)
  • 農産物市場問題研究会からの所感 経済インフラとしての現物市場・先物市場 ―米先物市場を活用した播種前、複数年契約、輸出促進― (吉田 俊幸)
  • 農産物市場問題研究会の開催について (農政調査委員会)
  • 研究会の開催状況

■「農産物市場問題研究会の開催について」より:

食の外部化、国際化のもとで、コメ等の穀物、野菜等の生鮮食料品、畜産物の流通が大きく変貌している。そのもとで、市場経由率の低下等、物流面での「市場」の役割・機能も変化してはいるが、透明で公正な価格形成やこれに加えて需給調整の場としての「市場」の役割は、依然として大きい。そこで、まず、消費・流通の変化のもとで、市場経由率が低下している生鮮食料品・畜産物の「市場」と価格形成の役割を検討する。一方、重要な国内生産物であるコメは、市場と価格形成の場が存在しない。そのため、コメには透明で公正な価格形成システムがなく、指標価格が存在しないことによる様々な弊害(卸・小売での価格と生産者手取りの乖離、リスクヘッジ等)が指摘されている。なお、2023年9月には、現物市場が設置される予定である。

しかし、コメ,小麦、とうもろこし、大豆の穀物の海外での取引・価格形成は、現物・先渡し・先物の各市場が併存している。各市場の役割と機能を分担することによって、スムーズな流通と透明で公正な価格形成を実現している。

生鮮食品等の流通・市場の役割・機能・価格形成及び海外穀物の取引・各市場の機能と役割を踏まえて、9月に設置されるコメの現物市場のよりよい発展とともにコメ市場・流通の望ましい姿とその機能発揮の在り方を検討する。

今後については、コメの国内消費の大幅な減少が予測されるなかで,米産業の未来は、コメ・米加工品の輸出拡大にある。また、国際的な米市場もアメリカ、オーストラリア、中国、ベトナム等の環太平洋地域での一帯的市場化と競争時代に突入した。将来を見据えて、コメの市場も現物・先渡・先物市場の連携により、コメの流通・価格形成を実現の在り方及びジャポニカ米市場の国際的なセンター化の可能性についても議論・検討する。同時に、コメの透明で公正な価格形成の場の実現は日本の米生産・輸出増大と食料安全保障に貢献できると考えられる。
「農産物市場問題研究会」は、様々な立場と多様な意見をもつ有識者、業界関係者の参加による食の外部化・国際化時代での農産物流通・市場・価格形成の在り方を議論する場である。

研究会は運営、企画は一般財団法人農政調査委員会が担当し、事務局・企画のメンバーは、熊野孝文(ジャーナリスト)、村尾和俊(㈱経済エクスプレス代表)、渡辺好明(農政調査委員会評議員)、松本裕志(同専門調査員)、吉田俊幸(同理事長)である。

 

 

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