のびゆく農業:No.1032-1033:フランスの農業経営・農地政策の新動向
■原文:
・Loi n⁰ 2014-1170 du 13 octobre 2014 d’avenir pour l’agriculture, l’alimentation et la forêt
(農業、食料及び森林の将来のための2014年10月13日の法律第1170号)
■発行:2016年12月15日
■解題:原田 純孝→解題等(PDF)を読む(本編の一部を無料でご覧頂けます)
■翻訳:原田 純孝
■対象:フランス
■ページ数:90p.
■在庫:あり
■目次:
- 解題…2
- 【参考資料】…29
- フランスの農業経営・農地政策の新動向-農業、食料及び森林の将来のための法律-…
- I 提案理由(抄訳)…32
- II 農業、食料及び森林の将来のための2014年10月13日の法律(抄訳)…51
- 序編 農業、食料、漁業及び森林のための政策の目的…51
- 第I編 農業及び農産食料品産業の経済的かつ環境的パフォーマンス…57
- – 経済・環境利益集団(GIEE)…57
- – 農事賃貸借の環境条項等…59
- – 共同経営農業集団(GAEC)…62
- 第II編 自然・農業・森林空間の保護及び世代の更新…65
- – 自然・農業・森林空間の保護…65
- – 土地整備農事建設会社=サフェール(SAFER)…70
- – 自立及び移譲政策…78
- – 農業経営構造コントロール…81
■解題より:
フランスでは、2014年10月13日に「農業、食料及び森林の将来のための法律」第1170号(Loi d’ avenir pour l’ agriculture, l’ alimentation et la forêt)が制定された(一部を除き、翌日から施行)。この法律(Loi d’ avenir agricoleとも略称される。本稿では「LAA法」と呼ぶ)は、オランド社会党政権がEU共通農業政策の新たな改革(実施期間は2014~2020年)への対応を意図しつつ、今後の10年に向けた農政の基本政策を打ち出した法律であり、従前の政策内容の大幅な見直しを行っている。従来、フランス農政では、このような役割を担う法律は「農業の方向づけの法律:Loi d’orientation agricole」の名を冠して制定されてきたが、今回は、それが「農業の将来のための法律=LAA法」という名称で登場したのである。
それ故、同法の対象は、次の1(1)で見るように極めて広範な事項に及んでいる。ここでは、「農業経営・農地政策の新動向」という視点から、それに関係する「提案理由:Exposé des motifs」の前半と基本的な条文を訳出して紹介する。
ただ、対象が外国の、しかも既存の制度や政策を改正する法律であるため、単に翻訳しただけでは、読者にはわかりにくいところがある。そこで、①翻訳の部分にも、最小限の脚注を付した。また、②提案理由の翻訳には、適宜に小見出しを付し、参照の便宜のためパラグラフに通し番号を付けた(「パラ5」、「パラ20」等の形で引用する)。③フランスの法律(とくに既存の制度を改正する法律)の体裁は日本のそれとは異なっており、一見わかりにくいが、慣れると、日本の「…を改正する法律」よりわかりやすい。両者の違いを示す意味で、条文の翻訳は、あえて原型を維持している。
外国の法律を日本の読者に対してそのまま訳出して読んでもらうという作業は、読者にとっても訳者にとってもかなりしんどい作業であるが、従前から訳者が紹介してきたフランスの諸制度(農事賃貸借、サフェール=SAFER、経営構造コントロール、共同経営農業集団=GAEC、自立助成など)がいかに緻密な法律規定に支えられて存続・機能してきたかを知っていただく機会となれば幸いである。
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