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のびゆく農業:No.1055-1056:台湾の温室効果ガス排出削減対策と農業

・台湾の温室効果ガス排出削減対策と農業


■発行:2022年3月31

■解題・翻訳 長谷美 貴広(南開科技大学)

■対象:台湾

■ページ数:86p.

■在庫:あり

■目次:

解題
気候変動に対応する国家行動綱領(承認版)
Ⅰ.まえがき
Ⅱ.戦略の将来展望と目標
Ⅲ.基本原則
Ⅳ.政策の内容
Ⅴ.政策のフォローアップ
温室効果ガス削減推進計画(承認版)
Ⅰ.はじめに
Ⅱ.温室効果ガス削減の段階的管理目標
Ⅲ.政府各機関の権限および責任の分担関係
Ⅳ.政策推進のための戦略
Ⅴ.期待される効果
Ⅵ.政策実行の指導・管理システム
農業部門における温室効果ガス排出管理のための行動計画(第一期階段)(承認版)
Ⅰ.はじめに
Ⅱ.現状分析
Ⅲ.農業部門の温室効果ガス排出管理目標
Ⅳ.政策実行スケジュール
Ⅴ.政策推進戦略と対策
Ⅵ.期待される効果
付録

■解題より:

温室効果ガス削減対応をめぐっては、気候変動や脱炭素社会への移行に伴う政策・規制や技術革新、消費・投資行動などの変化などが経済・金融面にもたらす悪影響、「移行リスク」が問題とされる。何よりも、温室効果ガス削減のカギを握るのは、実用的な機能・効果を持つCO2除去技術の確立である。技術未確立、CO2削減の進まぬままでの、無理な経済構造の転換を行えば、企業活動・国民生活にも悪影響が出かねないといえる。
温室効果ガス削減対策に関係する6大産業部門中、農業部門、環境産業部門は排出削減よりも、温室効果ガスの回収・貯留・排出管理技術の開発に重点が置かれており、温室効果ガス削減の直接的な行動は、台湾経済を支える基幹産業に委ねられている。
政策の内容を訳者なりに整理してみると、次のような事が考えられる。
① 脱原発・脱火力と、水力以外の再生可能エネルギー(風力・太陽光・バイオマス)エネルギーへの転換による、発電能力の低下・不安定化。
② 物流機械の脱化石燃料化、EV車の普及と電力使用量の増加。蓄電能力の制約によるマイカー利用・移動距離の減少と、それを補う統合・合理化の進んだ公共交通ネットワークの整備。
③ 工業生産過程における温室効果ガスの排出抑制(回収・資源化)。
④ 建築物のエネルギー効率指標の向上、新規建築の抑制、既存建築物の解体抑制、既存建築物修繕によるエネルギー効率向上。
⑤ 上記のような電力エネルギー供給構造の変化に対応するための、低消費電力製品の開発、普及。地域送・配電管理のAI化、省エネ技術の開発。
台湾の温室効果ガス削減対策は、速やかな技術革新の達成が前提となっており、決して楽観できるものではない。スレスレを行っていると思わせる危うさがある。

 

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