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「意見ひろば」:食料自給率考

図5 人口増加に伴う食料自給率の推移   資料:農林水産省「食料需給表」及び総務省「国勢調査結果」から筆者作成

図5 人口増加に伴う食料自給率の推移

資料:農林水産省「食料需給表」及び総務省「国勢調査結果」から筆者作成

 では、人口増加の影響はどの程度あるのか、それを見たのが図5及び図6である。図5は、図4に人口増加に伴う食料自給率への影響を加えたものである。人口増加の影響を試算するに当たっての前提は、60年の生産状況(耕地面積、生産構造など)がそのまま現在に引き継がれるとともに、食生活も全く変わらず、人口だけが増加し、その人口増加分の食料はすべて輸入する(60年当時の国内農業生産の状況は、当時の食料不足、栄養不良の状態を解消するにはほど遠く、まして人口増加分の食料を供給する余地は全くなかった。)というものである。

 試算の結果は、2010年の食料自給率は58%となり、公表されている39%よりはかなり高いが、60年の79%に比べると21ポイントもの低下となり、人口増の影響の大きさが理解できよう。なお、この試算は、摂取カロリーは60年の水準のままで行っている。その意味では控えめな試算となっており、摂取カロリーまで視野に入れて試算するとすれば58%を間違いなく下回ることになる。

 図5の人口の増加に伴う食料自給率と総合食料自給率の差が図6の「その他の要因」に相当するが、図6を見れば、60年から今日に至るまでほぼ一貫して人口増加要因による自給率低下の方が「その他の要因」による低下を上回っているのが見て取れよう。

図6 食料自給率の低下要因   資料:農林水産省「食料需給表」及び総務省「国勢調査結果」から筆者作成

図6 食料自給率の低下要因

資料:農林水産省「食料需給表」及び総務省「国勢調査結果」から筆者作成

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