「意見ひろば」:食料自給率考
この「その他の要因」の中には、農林水産省などが指摘する「食生活の大きな変化」が含まれる。しかし、そのほかに国内農業の構造変化要因なども含まれている。例えば、農業生産の基盤となる耕地面積は、高度経済成長を経て経済大国といわれるまでになった過程で転用等が急速に進み、大幅に減少を見ているが(図7)、そうしたことによる農業生産の低下ないし低迷も含まれる。
一方では、農地造成が盛んに進められた時期もあり、また品種改良や栽培技術などの生産技術等の改良、開発などによる生産性の向上もあるので、必ずしもマイナス要因だけではないが、ここではそうした様々な要因を含めて「その他の要因」としている。
「その他の要因」については、詳しく分析すべきであると考えるが、ここでは、食料自給率低下の主たる要因は、農林水産省などが主張する「食生活の大きな変化」ではないということだけを強調しておきたい。