「意見ひろば」:食料自給率考
このように国内の農業生産力からみた適正人口は、多くても6~7千万人であるが、食事内容も考慮して5~6千万人と考えれば、現在の人口1億3千万人弱からみて、食料自給率40%はある程度頷ける数値ではないかと思う。
なお、農林水産省は、基本問題調査会や審議会等の場でしばしば国際的にみた我が国の食料自給率の低さを強調する。その意図がどこにあるのかわからないが、農林水産省が作成した資料である図11を見て分かるように、よく引き合いに出されるイギリスの場合には、国民1人当たりの農用地面積は我が国の数倍もある一方、人口は我が国の半分にしか過ぎない。イギリス以外の他の先進諸国も適正人口以内に収まっているとみられるだけに、それら諸国と比較することには論理的に無理があるといわざるを得ない。